今回はドライヤーを好みの設定になるように改造します。
今回やる改造:冷風を強力に出るようにする
今回は以下のドライヤーを冷風が強く出るように改造します。
Panasonic のTURBODRY 1200 という製品です。
このドライヤーですが、全部で以下の4つのモードがあります。
・TURBO:モータが高速で回転+ヒータが強で動作
・set :モータが低速で回転+ヒータが弱で動作
・cold:モータのみ低速で回転、冷風がでる
・OFF:停止状態
個人的に風呂上がりのドライヤーは涼みながら使いたいところなのですが、TURBOモードだと熱風が出てきてしまい、涼むことができません。
coldモードではモータの回転が低すぎてあまり風が出てこず、乾かすことができなくなります。
よって、TURBOモードでヒータを停止させ、強い冷たい風だけが出てくるように、改造を行います。
分解して構造を理解する
まずは分解していきます。
今回のドライヤーは使い始めてからそこそこ年月が経っているので、多少劣化していました。
先端部分が熱でゆがんでハウジングが固着していたりしました・・・・
多少の傷は許容しつつ、分解していきます。
後部にはかなり剛性のあるファンがついていました。
先端部分の分解の仕方がわからず手間取ったのですが、どうやら回して外す模様。
側面のねじを一か所外し、風が出る方向から見て反時計回りに透明な部品を回転させると外れるようです。
ファンの上にはヒータユニットがあります。
平たい波々の金具はすべて発熱するヒータになっています。
空気が出る側には何やらサーモスタットらしきものが取り付けられています。
ファンユニットとヒータユニットはテープ一枚でつながっていました・・・・
外側の青い筐体にはめ込む形なので、このあたりはコストダウンされているようです。
ファンユニットを後ろ方向に引いて取り外します。
モータはDCモータの様です。
小さいですが、ダイオード4つによるダイオード整流回路がモータ端子に直接はんだ付けされています。
す、すげぇ・・・・(強引)
ヒータユニット側には、ヒータ手前に若干回路が組み込まれているようです。
発熱が大きい部品だと思われます。
スイッチ部分は以下のものです。
4つのモードがありますが、すべて機械接点で切り替えているようです。
スイッチユニットの側面のツメを外し、中の接点を確認してみます。
全部で3つのスイッチが組み込まれていることがわかります。
スイッチのレバーに該当する白い部品を見てみるとそれぞれにスイッチを押すまでの段階を分けた突起があり、これでドライヤーの動作を分けているようです。
スイッチ上面はゴミが入らないように薄いプラスチックの可動片を挟んでいました。
この構造は今後なんか作る時の参考にしたいですね・・・・
全部分解してみると以下のようになりました。
熱で固着していなければ、もっと簡単に分解でたかなと思います。
回路構成を調べる
ここで、いったん分解をやめ、配線を追いながら回路構成を調べてみます。
書き出した結果は以下の通り。
分かりやすいように並べ替えて書き直すと、以下のようになります。
回路には大きく分けて4つのブロックから構成されていました。
・電流経路を切り替えるスイッチ回路
・モータ駆動回路
・ヒータ回路
・整流方法選択回路があります。
それぞれのブロックについて、動作をまとめてみます。
電流経路を切り替えるスイッチ回路
まず電流を切り替えるスイッチ回路ですが、それぞれの接点の役割は以下のようになっています。
接点0はDCモータの駆動/停止を制御しています。
接点1はヒータへの電源供給を制御しています。
接点2は全波整流と半波整流のどちらを使用するかを決める回路になっています。
これらがスイッチのレバー(白い部品)により、モードに応じて段階的にON/OFFされることで動作の切り替えを行っています。
モータ駆動回路
次にモータ駆動回路ですが、ダイオード4つを使用した全波整流回路が使用されています。
一応電圧の平滑を意識しているらしく、整流回路前後にコンデンサが配置されています。
ブラシモータなので多少電源電圧が揺れる程度は無視できるのか、0.1uFとかなり小さい容量のコンデンサです。。。。
823Kと書かれた部品はぱっと見フィルムコンデンサのようですが、AC電源ラインに直結されているのでいまいち用途がわからないです。
何かしらのフィルタ要素、なのかもしれない・・・・・
ヒータ回路
ヒータ回路はAC電源経路に直結するタイプのように、直列にサーモスタットが入っているだけでした。
ヒータの電源が供給されていればON、風の温度が上がりすぎたらヒータをOFF、といったところでしょうか?
整流方法選択回路
最後に整流方法選択回路です。
このドライヤーでは風・ヒータの強さが2段階あるのですが、電力供給量を直接2段階にして切り替えを行っていました。
スイッチユニットの接点2は”TURBO”モードの時のみONになるのですが、OFFの場合はダイオードを経由してACラインからの電流が半波整流されます。
ONの場合はダイオードの前後が短絡されるので、ACラインからの電流がそのままモータ駆動回路とヒータ回路に入っていきます。
OFF:AC→半波整流→全波整流回路→モータ / AC→半波整流回路→ヒータ
ON:AC→全波整流回路→モータ / AC→ヒータ
う~ん、なかなか面白いです。
"TURBO"モードの動作を変更する
構造と回路構成がわかったので、次はモードの動作を変更していきます。
モードごとの接点状態ですが、表にまとめてみると以下のようになります。
今回は"TURBO"モードにて、ヒータを動作させず強い風(全波整流回路でフルに電源供給した)だけが出るように改造するので、
"TURBO"モードにおける接点2の状態をONからOFFへ変更します。
改造の方法ですが、スイッチの接点を押している、白いパーツを削り、接点2が"TURBO"モードの時に押されないようにします。
以下の図で、マイネームペンで黒く塗った部分を削り、接点がONにならないようにしていきます。
加工後は以下のような感じ。
ちょっと雑ですが、動作できれば問題なしです。
接点を丸ごと削って無効化してしまおうかな~とも思ったんですが、たまにヒータを使いたい時があるので残しておくことにしました。
もし改造にトライする場合は、接点の削りすぎに要注意です。
動作確認
ウム、問題なし。
無事、"TURBO"モードにて、ヒータを無効化することができました。
元に戻す
分解したものをもとに戻していきます。
可動部の配線が変なところに挟まれないように気を付けながらもとに戻していきます。
ヨシ!元通り!(傷まみれ)
まとめ
今回はドライヤーの動作を変える改造、ヒータのON/OFFを所望の動作に変える改造を行ってみました。
やったことはスイッチのプラスチックの板を削っただけですが・・・・
ドライヤーの回路構成だったり、安価な構成で出力を変える方法等、いろいろ勉強になりました。
また何か改造したくなったらやってみます。
それでは、また。