レビュー

【レビュー】中華QIDI製 3Dプリンタ X-PLUS3 がやはり最高だったのでレビューする

思えばあれは、高専4年の夏。

まだまだ中華3Dプリンタが魔境だった頃。俺はQIDI-Xmakerに出会った。

箱出しで即印刷、造形制度はピカ一。半年に一度にレベリングする程度しかずれない精度の高さに感動した。

あれから4年の月日がたったわけだが、俺はまた同じメーカーの後継機を購入した。。。。。

4年ぶりの3Dプリンタ更新!

とまぁ、どうでもいい感慨は置いておくとして、4年ぶりの3Dプリンタ更新です。

テンションブチ上がりぃ~↑。

今使っているX-makerもヘッドケーブルの断線が1回きりでその他は4年間一切トラブルがないというバケモンなのだが、170×170×170mmという造形サイズがすこし物足りなくなってきた。

ということで今回は280×280×270mmの造形が可能なX-makerの後継機、X-PLUS3を購入した。

今回購入した商品は若干高額なこともあってか、Amazonのレビューに「日本でのレビューが少ない!」みたいな意見がチラホラ見受けられた。

そのため、というわけではないが、いつものごとくギャラリー満載で行くので参考になったらうれしい。

今回購入した商品

今回購入した商品は以下のもの。

価格はだいたい10万くらい。(23年12月現在)

3Dプリンタにもいろいろあり、エンクロージャーと呼ばれる外側の箱があるもの、ないもの、レベリングが自動のもの、そうでないもの、、、

とまぁ、いろいろある。

今回購入したモデルは、おそらく個人向け3Dプリンタの中ではかなり機能マシマシなモデルだと思う。

価格は若干張るが、個人的には満足。大まかなスペックは以下の通り。詳細はAmazonとかに結構書いてあるのでそっちを見たほうが早い。

・CORE-XY構造(頑丈な大型金属フレーム)
・KLIPPER マスター (CPU性能大幅UP)
・高速押し出し機(高速印刷対応できる)
・恒温槽(印刷中、エンクロージャー内部の温度を一定にできるのでABSなどで反りが少ない)
・フィラメント乾燥ボックス付き
・最大造形サイズ:280mm×280mm×270mm
・オートレベリング機能(いちいち自分でレベリングしなくてよい)
・最高印刷速度600mm/s

前置きはこの辺にしておくとして、実際に開封していくとしよう。

開封の儀

まずは外箱。

何を運んできたのが一目瞭然だぜ。。。。。

あとでかいです。

賃貸に住んでいる人は遠慮せず持ってきてもらった方が良いです。

幸い重さはそんなにないです。

段ボール箱の角の部分は中・外から補強されています。

多少潰れているくらいでは影響ないと思います。

箱を開けるとまずはUSBと取説が入っています。

隅っこの黒いのは段ボール箱の角補強用のプラスチック部品です。

レベリングシートと取扱説明書が入っていました。

一番上の発砲スチロールを取り外すとすぐに筐体が見えます。

サイズ的には段ボール箱ギリギリです。

側面にも緩衝材は入っていました。

3Dプリンター本体の側面に運ぶための穴が開いているので、そこをもって上に持ち上げます。

重さは体感15kgぐらいだったのでそんなに大変ではないです。

いざご対面。

やっぱでかいですね。。。

上の部分には付属品を入れた段ボール箱と発砲スチロール箱が入っています。

4年前に同社製のX-makerを購入した際も似たような入れ方をされていました。

ビルドプレートの上に載っている形なので「ゆがんだりしない?」と少し心配になりますが、ビルドプレート自体が一番下まで下げた状態で運搬専用にねじ止めされてくるので、まず問題ないでしょう。

中を開けてみるとこんかな感じです。

現物見て思いましたが、280mm×280mm×270mmの造形サイズはやはり巨大です。

なんでも印刷できそうな謎のわくわく感がありました。

一応ビルドプレートに直接力がかからないよう、足つきの発泡スチロールが入っていました。

この上に付属品の箱を載せているみたいです。

梱包設計をする人も一苦労ですね、、、、

350mlの缶と比較してみると以下のような感じ。

かなり大きいビルドプレートであることがわかります。

ロゴは3Dプリンタの下部に印字されています。

産業グレードをうたっていることもあってか、ちょっといい雰囲気出してます。

続いて付属品を見ていきます。

箱表面にも何が入っているのか印字されています。

付属品を全部出してみました。

不足はないです。

今回付属してきたUSBはNetacというメーカーのもの。

前回同社の3Dプリンタを購入した際はTOSHIBA製のメモリが付属してきました。

どこぞのよくわからないUSBメモリを接続するのって若干怖いので、その辺を配慮しく照れているのはありがたいです。

続いて全体を見ていきます。

正面は大きなプラスチック製の窓がついており視認性はいいです。

静電気でほこりが付きやすいのが少しマイナスポイント。

側面は黒の筐体に白の化粧板を合わせたデザイン。

真ん中のくぼみが持つための取っ手です。

背面はコントローラや排気ファンの穴がついています。スイッチ類やコンセントもまとめて配置されています。

電源入力は100Vではなく110Vからになっているようですが、家庭用の100Vで問題なく動作しました。

背面のフィラメント挿入口にはフィラメント揺れを検出するセンサがついています。

印刷時、スムーズにフィラメントが供給されなくなったときに動作するものらしい。

背面の左側にある穴(くぼみ)はフィラメントを固定するための棒を取り付けるためのものです。

欲を言えばフィラメントは側面に取り付けられるものがよかったかな。。。。

背面にフィラメントを配置するのはよくあるパターンですが、このサイズになると運ぶのが少し面倒です。

あまり紹介されていない背面も一応共有します。

電源ユニットや制御ユニットらしシルバーの箱、背面全体を覆う金属プレートで構成されています。

足は4隅にしかないので、金属ラック等の穴の空いた場所に置きたい場合は少し注意が必要になりそうです。

置いた時の床面と筐体下の面のクリアランスは結構狭いです。

付属のフィラメント固定用の棒は以下のように差し込んで下方向にスライドすれば固定できます。

フィラメント乾燥ボックスの取り付け

だいたい見たいところを見たので、次は組み立てを行っていきます。

今回購入した3Dプリンタは完成品ですが、フィラメント乾燥ボックスだけは後からつける必要があります。

本体は以下のような感じ。

フィラメント収納ケースの横に、乾燥材を入れるスペースがあります。

表面にはフィラメント交換の方法が描かれたシールが張り付けられています。

まずはフィラメント収納ケースのフタを開けます。3か所つまみがあります。

付属の乾燥材はシリカゲルがたくさん入ったものでした。

結構サイズはでかいです。

筐体に四角い窓があるので内側からはめ込みます。

欲を言えば電気かなんかで乾燥するタイプがよかったな~なんて思います。

場所によるかとは思いますが、定期的に交換が必要になりそうです。

フィラメントを収納すると以下のような感じ。

フィラメントスプールとケースの隙間は指がギリギリ入るか入らないかぐらいでした。

取り外す際は少し工夫が必要になりそうです。

フィラメントを通す際は、まず外側にある穴をふさいであるパーツを取り外します。

最初少し入れずらいですが、内側からフィラメントを押し込めば通ります。

最後にフィラメントカバーをかぶせて完了です。

押し込んだ感じ、フィラメントの穴も空気が入りにくい構造になっているようで、しっかり乾燥できる印象でした。

フィラメントスプールの中心の穴のサイズが合わない場合に調節するためのパーツも付属していました。

本体を組み立てと初回起動チェック

次に3Dプリンタ本体の組み立てを行っていきます。

運搬のためにいろいろ固定されているので、各部の固定を解除していきます。

まずはビルドプレートを固定している結束バンドを外していきます。

ニッパーで切断します。タイミングベルトが近い位置にあるので間違って切らないように注意です。

ヘッド周りにもかなり入念に結束バンドが取り付けられているので全部外します。

この辺はタイミングベルトがマジで近いので要注意。

結束バンドを全部切断し終わったら電源を入れます。

横についている結束バンドはビルドプレート付近の可動部と連結されているので電源を入れないと取り外しできません。

電源を入れるとまず言語の選択が要求されます。

日本語はやまと言葉らしい、、、まぁ、間違ってはいないが、、、、

初回はチュートリアル的なガイドが画面に表示されます。

ベッドを固定しているねじが4本あるため、まずはこれを外します。

外す際は付属の六角レンチを使います。

組み立て備品で頭が丸くなっているタイプのものが付属しているのは初めてでした。

ちょっと感動です。(今後も使えそう)

全部外すしたらビルドプレートを上に動かします。

ビルドプレートの下にも緩衝材が入っているので忘れずに取り外します。

【注意】この時同時にビルドプレートが入っている袋も取り除きます。

この後レベリング作業が始まるのですが、ビルドプレートを取り外した状態ではレベリングできないので実質外す機会がないです。

最初ビルドプレートを外したままでレベリング作業に入ってしまったのですが、放置していたところノズルがビルドプレート下のベッドに直撃しました。

結構パワーがあるのでベッドにくぼみができてしまいました。

ベッドとの距離を金属製のビルドプレートを検出して測定しているため、忘れずにビニールを取り外して戻しましょう。

レベリング作業が始まると以下のような画面が出るので通常のレベリングシートを用いたレベリングを行います。

このプリンタの公称印刷制度は0.15mmですが、ベッドの距離調節が0.01mm刻みでできるようになっています。

精度がいいわけだぜ、、、、

オートレベリング機能搭載なのにやらんといかんの、、、、最初思ったんですが、どうやらオートレベリングとはいったん設定した距離に自動調節してくれる機能のことだったらしい。

最初の一回だけはレベリングシートを用いて距離調節を行い、その後はその距離を維持するようにオートレベリングをする、、、というものでした。

今後はこのシートとはしばらくお別れですね、、、

その後は案内に従って画面をポチポチしていくとオートレベリングが開始されます。

勝手に進めてくれるのでしばらく待ちます。

レベリングが終了したら、3Dプリンタ本体のにも乾燥材を入れます。

印刷中は排気をおこないますが、この時にも配慮しているみたい。

活性炭タイプの乾燥材が付属しているため、これを入れます。

入れる箇所は3Dプリンタ内部の奥の方にある箱です。(フタは手前に引くと外れます。)

初期設定はこれで完了です。

最初のチュートリアルが終わると次回以降は通常の操作画面に切り替わります。

初回なので軸正にある3つの調節はすべてやっておいた方が無難かもしれません。

その他、各部の写真など

実際の動作を見ていく前に、補足として各部の写真を載せておきたいと思います。(案外買う前にこういうところが見たかった)

筐体の4隅には金属の柱があり、これがCORE-XY構造、なるものらしい。

ぱっと見の雰囲気でもわかりますが、剛性に問題はなさそうです。

今回のモデルはビルドプレートが大きく重量もそこそこあるためか、左右のボールねじでビルドプレートを操作するタイプですした。

中心のボールねじに加え、左右に一本ずつガイドがあります。

ヘッドにつながるケーブルはプラスチック製のチェーンで保護されています。

この辺は産業グレードをうたうだけあるな~という感じです。

全部伸ばしても若干余裕があるので突っ張って傷むようなことはなさそう。

ヘッドの構造は以下のような感じ。

X-PLUS3ではカーボン入りの材料などを印刷する際にノズル交換が必要になりますが、前面にねじが出ているので交換は楽そうです。

上面は以下のようになっています。

正面から見ると以下のようになっています。

ノズルの右にはオートレベリング用の金属検知センサが取り付けられています。

ノズルの交換の際には特に邪魔にはならない一だと思います。

ノズルのカバーの白いフタにはファンがついていますが、このケーブルだけ巻き込んでしまわないように注意が必要です。

自分は占めるとき何度か噛みこんでしまいました。

タイミングベルトを動かすモータは背面側に取り付けられています。

印刷中はかなり発熱します。

ビルドプレートの下にはヒータがついています。

見た感じビルドプレート全体を温められるサイズ感なので、温度に偏りが出ることはなさそうです。

排気用ファンは本体背面のほかに、正面から見て右側面についています。

普通のファンじゃなくてシロッコファンを使っているのは個人的にポイント高いです。

本体の左側面にはエンクロージャーを恒温槽にするためのヒータがついています。

小型だけど実際に動かすと結構早い速度で温度が上がります。

初めて体験する機能を確認していく

今回ははじめて体験する機能が結構あったのでそのあたりも含めて感想を述べてみたいと思います。

オートレベリングとはどんなものなのか?

一番最初にレベリングシートを用いて設定した距離になるように、ビルドプレートの16か所で距離調節を行う機能でした。

毎回16か所調節するわけではなく、印刷物のサイズに合わせて5か所ぐらいで終わることもあるみたいです。

調節位置も印刷物付近で行われていました。

時間は全部で7分くらいかかります。

楽かどうかで言えば、まぁ、楽ですね。

もともと持っていたQIDI製の3Dプリンタ(オートレベリング機能なし)の品質が良く、半年に一度見るくらいでよかったため劇的に変化した感じはしません。

今まで毎回印刷前にレベリングが必須なプリンタを使っていた人にとっては、かなり劇的な変化かと思います。

ヒートチャンバーとはどんなものなのか?

文字通り、エンクロージャー(チャンバー)内部を一定温度に温める機能です。

ABSで巨大なものを印刷してみましたが、確かな効果がありました。

外付けでヒートチャンバーユニットが売っているくらいなので、反りを抑えて印刷したい場合は必須の機能と言えるかもしれません。

ほぼPLAしか使わない人には不要な機能かなと感じます。

爆速プリントの実力を確認する(ベンチマーク・プリント)

ガチで速ぇ。

どんなもんかな~ぐらいの淡い期待でテストプリントしてみたんですが、マジで速いです。

ゲームチェンジャーといっていいレベル。

いままで高速プリントというと光造形タイプしか選択肢がなかったわけですが、材料を死ぬほど使うのと後処理がクソ面倒なのとで購入していませんでした。

積層タイプでこれだけ速度が出てしまえば、そうそう困らないのではないでしょうか?

今回は本体に入っているベンチマークデータを印刷してテストしてみました。

リアルタイムで見ると以下のような速度です。

※動画取り直し中・・・・

オートレベリングの時間を入れるのを忘れていてタイマーをカチカチしてますが、印刷15分、レベリング10分ぐらいでした。

オートレベリングの時間は印刷物の形状によって若干時間が変わってきますが、それを加味してもかなり早いと感じます。

ソフトウェアがかっこいい。

最近の3Dプリンタでは、サポート材をつけるかどうか、印刷速度や印刷時のヘッドやベッドの温度はどうするか等、細かく設定できるようになってきました。

これらの設定は通常付属のスライサーソフトで設定します。(自分はあんまり設定しない)

まぁ正直STL形式で3Dデータ作った後にちょいちょい設定するくらいしか使ったことはないんですが、今回はソフトの出来栄えに感動だったので共有したい。

※画像データ取り忘れたので後で追加します。。。

(ちなみにガチ勢はプリント品質とかを温度とかを変えて検証したりするらしいです。。。。)

ビルドの設定ウィンドウ

レイヤーごとに分けて見れるようになってる!!!!

正直高度すぎて使い方がわからん!、けどなんかカッコイイ!

ぱっと見設定項目が多く見えますが、実際は右側の積層高さとフィラメントの種類選択だけやれば問題なく印刷できます。

昔のQIDIのスライサーソフト同様、簡単・アドバンスド・高度の3つから設定画面を選択できます。

フィラメントの印刷情報をプリセットとして保存できる

今回のソフトでは印刷に使用するフィラメントの設定をプリセットとして保存できるようになっていました。

いやぁ、、、マジでこれは欲しかった機能。

3Dプリンタのフィラメントって材質が同じでもメーカーに印刷温度、ベッド温度とか微妙に違うんですよね。。。。

このあたりをよく使うものとして分けて保存できるようになったのはいいですねぇ。。。

スライサーソフトの使用感

「こんなこともできるようになったよ!」

と説明できればカッコイイんだけど、正直そこまで高度な使い方をしたことがない(しなくても十分きれいに印刷できた)ので機能的な説明ができなくて申し訳ない。

ただ昔のスライサーソフトであるQIDI Printと比較すると格段に良くなっていることだけは言えると思います。

悪いところを上げるなら、印刷に最低限必要な設定をタブをまたがないといけない点かなと感じます。

QIDI Printではインフィルパターンが同じ画面内で選べたんですが、(積層していくときの中空の部分の積み上げ方)今回からはタブになってるので切り替えて設定する必要があります。

正直細かいところだし頻繁に変えるわけではないのでそんなに困りはしないと思います。

この他に、個人的にいいなと思ったのは操作パネルからの温度や印刷速度操作。

割込み処理の関係なのか、プリンタ本体のタッチパネルから操作するとどうしても少しモタついてしまうんだけど、PCから直接操作するとそれがないのが良かった。

いろいろな設定項目が追加されていたので、今後は使ったことがないものについて勉強していきたい。

まとめ

いやぁ、進化したね。。。。

というのが正直な感想でしょうか。

なんか4、5年前の3Dプリンタって「機械の面倒見れないと使う資格ねぇぞ!」みたいな風潮がなんとなくあった気がするんですが、この辺のイメージは完全に消えたなぁ~と思います。

手がかからないという点において、特に大きくイメージを変えた要素がオートレベリング機能の実装なのは言うまでもないことだと思います。

でも、それを除いて考えても、精度だったり使い勝手だったりと、DIYにおける「家電」としての資質を獲得し始めた気がします。

3Dプリンタ黎明期と呼べるものは少し落ち着いてきた印象ですが、ここから先どう進化していくのか楽しみです。

大事に使っていきたい。

また何か買ったらレビューしてみます。

それでは、また。

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