モジュール紹介

【DIY】激安中華DCDCコンバータを魔改造し...発火、だが完成させた

どうも、バイト戦士です。

今回はAmazonでは定番の激安中華モジュールを改造します。

ハイパワー化したいぜってやつです。(安直)

今回購入した商品

今回購入した商品はこちら。

たぶんAMAZONで一番やすいDCDCコンバータモジュールです。

一個やく100円です。

どういうビジネスモデルしてんねん。

まぁどうやってこんな激安価格で作れるのかは常に疑問ではありますが、今回はこいつを魔改造していこう、というわけです。

今回の改造の概要

今回はこのモジュールが扱えるパワーを増やします。

つまり、扱える電流の大きさをもっと大きくします。

Amazonではほかにも多数のモジュールが販売されており、ぶっちゃけ探せば結構出てきます。

ですが10Aクラス、電力的には100Wクラスの商品になってくると、そこそこ値段が張ります。

あとは爆熱すぎて安心して使えない。

今回はこのモジュールから必要な部分だけを取り出して他は新たな部品を使って再構成してやろうというわけです。

今回はモジュールの扱える電力を大きくする

まずはモジュールの概要とスペックを確認から

まずはこのモジュール自体のスペックと動作を見ていこうと思います。

販売元が出している説明は以下の通り。

説明によれば、入力よりも高い電圧を出力することができ、その値は可変抵抗器を回転させることで調節できるといった感じ。

詳細な商品説明は次のようになっています。

効率についてはめっちゃ怪しいですが、公称値は90%超えてるらしい。

電圧だけ動作確認もしてみましたが、問題なく動いていました。

ただ出力電圧を上げすぎたら壊れたので、ちゃんと定格は守った方がいいですね。。。

分解して回路を確認する

モジュールのままだと回路構成も何もわからないので早速分解していきたいと思います。

今回は複数同時に購入したので、一つは完全に分解してしまっても大丈夫。はんだを溶かして部品を外していきます。

基板単体の様子を確認すると、以下のようになっていました。結構簡単な回路みたいです。

いわゆる昇圧チョッパ回路です。検索するとたくさん解説サイトが出てきました。

結果、使用されていた部品は以下のようになっていました。

これ以外の6つの足があるのはICだと思われます。

ICの動作があまりイメージできていませんが、たぶん出力電圧をICにフィードバックして、その値をもとに電圧を変えていると思われます。

ICだけ別にして波形を観測してみる

次にICだけ取り外した基盤を用意して、各部の波形を確認してみます。

ICは6ピンありますが、全部は使われていないみたいです。

おそらくIC内に内蔵されたスイッチング素子でスイッチング動作を行っていると思われますが、なんだか動作が変です。

一般的な(教科書的な)昇圧チョッパ回路の動作は以下のようになっています。

MOSFETがONの間はインダクタと電源とFETが短絡状態になるのでエネルギーをためる。

MOSFETがOFFになるとインダクタにチャージされたパワーと電源電圧が持つパワーの2つが負荷側に流れ込むので昇圧される。

めっちゃ適当ですがこんな感じでいいと思います。

ただ今回のICだとONとOFFで動作が分かれてはいるものの、なぜかONの期間中ベタONになりません。

無限にスイッチングしてる。

だいたい1MHZ~700kHzくらいですね。

これは正直どういったことを目的にやってる動作なのかわからん。

連続的にONにしない理由って何なんだろうか?

このほかに、スイッチング周波数自体も出力電圧によって変わるという現象が起きました。

負荷抵抗が同じ場合、出力電圧が大きくなると出力電流も大きくなるので、
インダクタがパワー不足にならないようにスイッチング周波数を高めて一度にためるエネルギー量を数で補填する、みたいなことをやってるんだろうなぁって感じはありますが、正直わからん。

型番で検索してもデータシートが出てこないのでこの辺で調べるのはやめましたが、大体の使い方は把握できました。

ちなみにICの型番は「BS2871」です。商品名MT3608モジュールだけどね。

データシート持ってる人いたら教えてください。

部品を交換して魔改造する

ここまでで回路の構成と回路の原理はわかりました。

あとは適当に定格のでかい素子を使ってハイパワー化できるか試してみます。

気にするべきは以下の事項のみ。

・MOSFETのスイッチング速度(ON/OFF速度が制御するICの速度より遅かったらアウト)
・素子の耐圧
・素子の耐電流
・素子の耐温度

とりあえず今回はクソオーバースペックの部品だけかき集めました。

以下の通り。

完成した基板は以下のような感じ。

やっぱインダクタ使うと回路の雰囲気良くなるね。。。。

ぶっちゃけこんなんはネットで「○○モジュール」って検索すれば激安商品がわさわさ出てきます。

ただまぁ、それはモジュールを使って何かしたい場合に購入するのであってモジュール自体を作りたい場合は当てはまらないんですよね。

今回は電子回路を自作したかったのでコスパはともかく万々歳なのだ。

実験!電源投入

燃えた。

いやぁ、さすがに雑すぎたか、、、、

耐電流がかなりでかい素子を使ったんでバン!!みたいな音はしなかったですが、めちゃめたや煙が出ました。

さすがに仕様のわからん中華ICを流用するのはきつかったのかもしれん。

今回スイッチングに使うICICの定格を上げるために以下のような回路にしてます。

P-chMOSFETをオープンドレイン回路でスイッチングする、みたいなことをやってます。

が、さすがに無理だったみたいです。

回路を作り直す(ゲートドライブ回路を追加)

中華モジュールが燃えた!ってだけでも十分ネタにはなるんですが、これだけだと詰まらんのでちゃんと動くまでごり押しします。

今回MOSFETが死んだ理由として、スイッチングできなかったという問題があります。
(正確にはONで固まったまま過電流状態が続いてしまったこと。)

なのでMOSFETのゲートを駆動できさえすれば使えそう、というわけです。

なのでゲートドライブ回路を作っていきます。

ネットでググるとたくさん情報が出てきましたが、一番部品点数が少なくシンプルに収まるのはフォトカプラを使った回路でした。

以下のような感じです。

フォトカプラにトランジスタが二つ入っており、入力側のLEDのON/OFFに応じて切り替わるみたいです。

接続の切り替えを利用して真ん中の出力からゲートに電圧を加えてやろうということらしい。

ちなみにフォトカプラの動作の詳細は以下のような感じ。電流の向きと定格さえ気を付ければ、限界スペックでない限り普通に遊べそうです。

この部品シンプルでめっちゃええ・・・・わかりやすい。

全体としては以下のような感じです。

回路は以下のようになりました。ノイズ防止の電解コンデンサとかはなんも入れてないのでちゃんと動くかどうかについては、、、知らん。

プログラムを作成します

今回はArduinoを制御用に使います。

先ほどの昇圧チョッパの原理から見るに、ONの時間とOFFの時間の比率を調節してやれば動くようです。

例えばONの時間を5割、OFFの時間を5割とした場合、出力電圧は入力電圧の2倍になるという感じ。

式の導出はまぁまぁ面倒でしたが、ネットの先達が山ほどいるので困ることはないかと思います。

これを実現するプログラムは以下のようになります。24行で済みます。

#include <math.h>
#include <float.h>

float sys_frequency=10000;                         //システム周波数(とりあえず書いてるだけ)

void setup() {  
  pinMode(9,OUTPUT);                               //今回使う出力ポートの許可設定
  TCCR1A  = 0;                                     //タイマ1設定用レジスタの初期化
  TCCR1B  = 0;                                     //タイマ1設定用レジスタの初期化
        
  TCCR1A |=(1 << COM1A1)|(1<< WGM11);              //出力ピンのモード指定、高速PWM動作指定(1/2)
  TCCR1B |=(1 << WGM13)|(1 << WGM12)|(1 << CS11);  //高速PWM動作(2/2) //分周比設定:8
  
  ICR1   = 200-1;                                  //カウント数上限(TOP値)を設定:任意の割り込み時間の調整
  TIMSK1 |= (1 << OCIE1A);                         //Timer1 割り込み許可
  
  //現在の設定
  //割り込み周波数=16MHz/8=2MHz -> 0.5us -> 0.5us * 200 = 0.1ms -> 1/0.1ms -> 10kHz
}


void loop() {
  OCR1A = map(analogRead(A0), 0, 1023, 0, 199);
}

Atmega328Pのデータシートを見るか、「Arduino PWM duty」とかで検索すれば解説サイトは出てくると思います。

書き込んで準備完了

全体の構成は以下のようになりました。

もはや中華の面影はどこにもなし。

まぁ、楽しいからいいよ。

実験!(再)

燃えました。

正確には燃えてないけど電解コンデンサ爆破。

体に悪そうな煙と蒸気が噴出しました。電解コンってこんな風に膨らんで息をするように壊れるんだなって思いましたね。

中華製だからか安全弁が開かん。

温度は若干とってるので下がってますが、結構熱くなってました。あと波形がヤバイ。

壊れた原因ですが、入力と出力で同じ耐圧のコンデンサを使ってしまったことです。

今回の回路は昇圧チョッパ回路なので、当然出力電圧は入力電圧より高くなります。

今回16V耐圧のものを使用していたので、出力電圧を上げたときに耐え切れず壊れた感じですね。

気を取り直して再度実験

電解コンをより大きい耐圧のものに変更して再度実験します。

今度は問題なく動きました。音と高周波音やばいけどね。

理想的には(教科書的には)デューティが50%で出力電圧=入力電圧×2になるはずですが、ならないですね。

負荷電流が低すぎてコンデンサが放電されず電圧が高くなってるのかもしれないです。

ちょっと怖いですが電流を4A流します。元の中華モジュールの2倍の電流です。

Dutyが50%あたりで、大体30Vになってます。この時入力電圧は14Vなので、おおよそ2倍かなってところです。

ちなみにこの電源、中華で買ったやつなんですが2年目あたりから徐々に電流センサが弱ってイキました。

オフセットで4A流してる表示になるんで、実際は8Aくらいです。

出力電圧=30V、出力電流=4A

入力電圧=14V、出力電流=8~9A

ぐらいなので、入出力電力はおよそ均衡がとれてます。

効率はわかりませんが、5割切ってるとかいうイケナイ回路にはなっていなさそうです。

よだんですが、卓上で120W実験は危険です。

動画内でやってますが、机が焦げました。。。。

なんか敷くか水冷にした方がいいです。

まとめ

今回は中華の激安モジュールを購入して分解、魔改造し、モジュールのハイパワー化ができるかを試してみました。

結論としてはよくわからんICを流用するのはきつい、でもって改造してるともはや面影なくなってるって感じです。

使われている回路の原理自体はそのまま使えるので、学びを得るという観点ではありかも。

部品何そろえればいいのかわからん、みたいなのも少ない気がします。

できた回路は教科書やネットにのってる原理は満たせたものの、出力のサージが消えてないので特性的にNGです。

電源回路としてサージは致命的だと思います。

今のところ理由がわかってないので調べておこうと思います。

それでは、また。

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