どうも初めまして。
メガネです。
最近ふざけた記事しか書いてなかったので久々に真面目系の記事です。
今回は定電流回路などでよく用いられる?カスコード接続回路の解析に関する記事です。
等価回路を描いて電圧増幅度と入出力インピーダンスを導出したいと思います。
ではでは。
今回解析する回路
今回解析する回路は以下の回路です。
「カスコード接続」なんて呼ばれる回路です。
今回解析するのは以下の回路です。
![](https://aisumegane.com/wp-content/uploads/2021/06/83fab775aedf6073b569a97ec43a73bc.jpg)
MOSが2コ縦につながってます。
等価回路を描いて電圧増幅度Avを求める
大信号で解析するのはめんどいので等価回路を描きます。
この回路ではMOSが二つあるので、それぞれ等価回路を描いてみると以下のようになります。
![](https://aisumegane.com/wp-content/uploads/2021/06/5eb4cb4a129b03865d5adab6dd4a640d-1024x390.jpg)
基本的に形はおんなじですね。二つともnMOSで形も変わらないです。
ただし上のMOSはゲートに小信号要素がない(直流なので)のでショートすることに注意です。
全部繋げると以下のような等価回路になります。
![](https://aisumegane.com/wp-content/uploads/2021/06/1486bbdd3158d94d76446cd1bd6171d1-1024x380.jpg)
最初に示した回路からもわかるように、上のMOSのソースは下のMOSのドレインに接続されます。
また等価回路では直流電圧源は全部ショートさせるので、上のMOSのゲートとVDDは短絡されます。
直流電流源は開放みたいな感じになって電流が流れない、という扱いになります。
(あくまで「みたい」です。)
なので上みたいな回路になりますね。
下のMOSは直流電圧源が消えて入力信号だけが残ります。
ここでVout1と書かれた部分の電圧を以下の画像のように考える必要があります。
こんな風に考えるのは後で電圧増幅度Avを求めるためです。
![](https://aisumegane.com/wp-content/uploads/2021/06/Capture-1024x615.jpg)
あくまでVgs2っていうのは絶対値の話で、逆向きに電圧をとるならばーを付けて上向きにするっていう考え方が肝ですね。
まぁ、少し気持ち悪いですが、もともとVgs2の向きが上を向いているので、等価回路に直した際に舌を向いてしまったら、符号を逆にして扱える、という感じです。
ここで回路をみよぉ~んと伸ばして以下の画像のように考えます。
![](https://aisumegane.com/wp-content/uploads/2021/06/e3cdcfd86fbd7895b1172d2602c59891.jpg)
見ればわかりますが、縦に伸ばしただけです。
ここで出力端子は開放しているのでiout=0となることを覚えておきます。
上の回路網においてiout=0という電流が流れているとすると、まず上の部分について式が立てられます。
注意としては、MOSなので入力側の端子には電流が流れていかないので電流が一方通行に流れることですね。
それとこの上部分の電圧はVoutからーVgs2を引いた値になるということも大事です。↓↓↓
引くんですけどマイナスが付いたものを引くので最終的に+になります。
Vout-(-Vgs2)=Vout + Vgs2 ということですね。
![](https://aisumegane.com/wp-content/uploads/2021/06/913dc4de636f0edbf94650646cbc6ff1-1024x491.jpg)
そんなふうに考えると上の部分の回路では①の式が立てられますね。
0の電流がいったん分かれてまた合流する、ただそれだけです。
つづいて下の回路について式を立ててみます。
![](https://aisumegane.com/wp-content/uploads/2021/06/2169e48dc45cef3ab98a2b4a3cb428d2-1024x532.jpg)
これも上の時と変わらないですね。
電流がいったん分かれてまた合流するだけです。かかる電圧は3,4コ上の画像からもわかるように-Vgs2です。ただし抵抗がR_Dとro1の2つあるので和分の積より合成抵抗を求める必要があります。
こんな風にして②の式が求まります。
ここで①と②の式は等しくVgs2についての式です。
今求めたいのはVinとVoutの関係Avなので
よくわからない中間の電圧Vgs2は等式を立てることで消えますね。
よって以下のようになります。
![](https://aisumegane.com/wp-content/uploads/2021/06/271418713b77fd9c3e3a5ddf71a07fe1.jpg)
ここで上の式中でよくわからないのは回路の電圧Vgs1だけですが、これは入力電圧Vinそのものなので置き換えることで電圧増幅度Avが導出できます。
![](https://aisumegane.com/wp-content/uploads/2021/06/5e6609699a20b3ea92e76fd89bc223d0-1007x1024.jpg)
よってこんな感じで導出できました。
どうだったでしょうか、一個一個追っていけばそんなに難しくないはずです。
ちょっと、ん?となるのはーVgs2という電圧を作るところくらいですかね。
入出力インピーダンスも導出してみる
せっかく回路を描いたので入出力インピーダンスも導出してみたいと思います。
まずは入力インピーダンスです。これは特に悩む必要はありません。
なぜならMOSは理想的にはゲートから中に電流が流れ込まないからです。
![](https://aisumegane.com/wp-content/uploads/2021/06/bf4306c97e09ac491b08fb41af4ff422-543x1024.jpg)
なので上のようになって入力インピーダンスは無限大になります。
つぎに出力インピーダンスを考えます。
こちらはちょっと考える必要がありますが、次の2つを意識すれば簡単です。
その2つとは、出力インピーダンスを考える時に、
- 直流電流源は電流を流さない
- 出力端子にはVoutという電源がつながりIoutという電流が流れるとみる
と考えることです。
こう考えればちょっと前に示した回路網の電流源を消してVoutをつなぐだけで出力インピーダンスが簡単に求められます。
![](https://aisumegane.com/wp-content/uploads/2021/06/9fbb6886c5f8fda5dd4b56648ef59dfe-1024x573.jpg)
別段難しいことはやっていません。
ただたんに電流源が電流を流さないのでそちらの電流経路が消え、
Voutをつないだと仮定したのでIoutが流れる、というだけです。
そしたらVoutという電圧を構成するのはIoutと経路の直列抵抗の積なので、VoutをIoutで割れば出力インピーダンスが出ますね。
経路は直列なのでこの一本の経路の抵抗を求めればこれが出力インピーダンスになります。
まとめ
どうだったでしょうか?
電子回路おもしろいな~と感動することも多いので記事にしてまとめてみました。
まぁ、「カスコード接続」って調べても2500件くらいしか出てきませんし回路解析を記事にしたところで超絶マニアックな人しか見には来ないでしょうが、自分の勉強も兼ねてたまに上げたいと思います。
見てくれた方、ありがとうございました。
それでは。